osakanatarouのオーディオ修理ブログ

古いオーディオ修理

DENON PMA-970

1980年頃に¥200,000で販売されてたプリメインアンプ。チューナーはTU-900(ダイヤル選局と8セグのハイブリッドが使いやすい。)当時のフラグシップだけあって、長く聴いても飽きない。レコードもCDもプリメインアンプはこれ1台で十分と思える本当に良いアンプだ。

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◆症状

①電源が入らない。

②発信音の様なノイズが聞こえる。

③Phonoから音が出ない。

④音が途切れる。

 

◆補修

①電源が入らない。

電源スイッチが固着していた。押下してもロックしないので、スイッチを外して何度かON\OFFFして復旧。その他、電源コードが断線していたものもあった。

②発信音の様なノイズが聞こえる。

•最初にパワーアンプのAC-DC電源基板を確認

場所は背面の左側。リアパネルを外してアクセスする。基板を取り外すとパワトラがガタガタと動く。熱で半田クラックが発生していた様だ。半田修正のみで、電源供給できる様になった。念のため同基板にあるSPKリレーを外し軽く端子を磨いた。これでノイズは改善した。

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•念のためパワーアンプ基板を確認

場所はPhono基板の下側。幸いヒューズ抵抗などは問題無かった。バイアスを105mVに調整して完了。

③Phonoから音が出ない

•PhonoのAC-DC電源基板を確認

場所はフロント左側。上カバーを外し、基板にアクセスする。やはり熱が発生する部分で半田クラックが発生していた。±60V±30Vが出力されてなかった。半田クラックを修正し正常に出力する事を確認。電解コンデンサは問題無いので交換せず。しかし、まだPhonoから音が出ない。

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•次はPhono基板の確認

今度はPhono基板上で±60Vを確認したら、回路の途中で供給されなくなっていた。ヒューズ抵抗のR63/64/111/112(39Ω)劣化故障が原因だった。部品交換して±60Vが供給される事を確認した。しかし、まだPhonoから音が出ない。

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•次はPhono基板の±30Vを確認。

+30VはOKだが、-30Vが-5Vしか出力しない。電源基板は補修済みなので、Phono基板上で擬似的に-30Vを負荷を減らしたら出力する。これはPhono基板上の何処かの部品が故障し、過電流が流れ-31Vが正常に立ち上がれない状態だった。原因はR35/36(22k)の劣化故障。基板が熱で黒色に変色してたので、最初に疑ったが、テスターでは正常範囲の数値になるので、問題無いと誤認してしまった。原因特定に時間を要してしまったが、抵抗を交換する事で過電流が解消され、Phono基板に±30Vが電源供給される様になった。これでPhonoから音が出る様になった。

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電解コンデンサは熱で表面のフィルムが縮んでいるが、問題無いので交換せず。

故障部品を調べてる途中で、金属シールドの中にあるタンタルコンデンサが故障しているのを見つけ交換した。

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③Phonoの音が途切れる。

稀に左chから音が出なくなる。Phono基板の半田不良かと思ったが問題無い。セレクターをグリグリすると音が出る様になる。REC/TAPE/MODEセレクターの汚れが原因だった。他のセレクターを含め分解して端子汚れを清掃して復旧。写真はMODEセレクター。

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Phono基板の回路図

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おしまい。