osakanatarouのオーディオ修理ブログ

古いオーディオ修理

KA-9300 修理 備忘録

ハードオフのジャンクコーナーで、音が出ないKA-9300を買った。

 

◆購入前のチェック

チェックコーナーに持ち込み確認した所、モードセレクターを回し、ある一点で左右から音が出た。

内部に埃が溜まっているのが見え、メーカー修理のステッカーもない。

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◆修理

①まずは掃除

上蓋を開け、オーディオの師匠に教わったとおり、100均のハケと掃除機で埃を除去。ネジを外した形跡も無く、過去にいじられた様な形跡は見当たらなかった。

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70年代は基本的にコネクタを使わず、基板間はラッピング。ほとんど手作り。

念のため回路図を入手。(ラジオ技術1976年4月)

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②電源の確認

大型の電解コンデンサに液漏れは無く、電源出力も問題無い。

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③接点とラッピングの確認

テスターで問題無い事を確認。半田付けはしない。

セレクターの確認

セレクターを外し分解清掃。その他は目視確認する限り問題無い。

⑤問題発生

セレクター清掃でガリが無くなったので、しばらく聴いていたら「時々音が途切れ、ボリュームUPもしくはATT切り替えると音が出る」症状が出た。

⑥ボリュームの確認

メインボリュームの未半田を見つけた。ここを半田付けしたが、音途切れの症状は改善しなかった。

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⑦基準電位を生成している電源基板を確認。

基板はラッピングで接続されているが、この基板のみスロットに差し込む形状なので取り外す事ができる。目視では半田不良やクラックは無いが、外したついでに再半田。電解コンデンサC10(写真一番左側の灰色の電解コンデンサ)にコテをあてた所で一瞬「ジュ」という感触があった。C10は茶色の接着剤で固定されているので、目視では見つけられなかったが液漏れしていた。

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これも音途切れの要因では無かった。でも液漏れが進行すればショートして、悪影響が出る可能性があるが未然に防げて良かった。

基本的に電解コンデンサを交換しない派だけど今回は予防のため左右とも交換した。

 

⑧スピーカーリレーの確認。

写真のとおり接点端子を固定するプラスチックが折れ、一番左側の接点が曲がっていた。

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接点も黒色に変色し接触抵抗値が高い。4c24v7Aの同型番は見つかるはずも無く、修理して再利用する事も考えたが、オムロンの5Aのリレー(MY4-02 DC24)に交換した。

 

◆視聴

リレー交換で不具合は再発していない。結果的に原因はリレーの接触不良だった様だ。今回は過去に修理した形跡も無く、リレー交換のみで済んだ。トリオのアンプはとても響きが豊か。70年代のレコードをガンガン聴きたくなる。

 

◆備忘録

リレーを実装している基板は、他の基板とラッピングで接続されている。それため、リレーを外すにはラッピングを外し基板を取り外さす必要がある。今回はラッピングを外さずにリレー交換できたので参考に記載する。

 

①ボリュームノブを全て外す。

②本体上蓋を外す。

 上面6個+両サイド

③本体裏蓋を外す。

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④パネルを外す。

パネル上下のネジを外し、パネルを引抜く。

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⑤分解準備

電源基板を固定しているネジ(1個)、リレーが実装されている基板を固定しているネジ(2個)、黒色のステーを固定しているネジ(2個)を外す。

 

⑥分解

パネルサイドにあるネジ(左右2個)を外し、ユニットを写真の方向にゆっくり倒す。

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⑦黒色パネルのネジを外す

黒色のパネルを固定してるネジ(11個)を外す。黒色パネルは取り外せないので、断線しない様に注意が必要。

 

⑧リレー基板アクセス

黒色パネル(上写真の上側)を持ち上げるとリレーの半田面にアクセスできる。後はリレーを外し交換すれば完了。リレーは使用しない足を切断しておく必要。