osakanatarouのオーディオ修理ブログ

古いオーディオ修理

SL-1300mk2 修理 その2 (補修偏)

前回のつづき。

本来なら割れたプラスチック部品を新品に交換するのが正しい方法だけど、40年以上前の製品なので補修部品は入手不可能。まずは、リフター動作を観察して、補修方法を考えてみる。

 

◆リフター動作

手でリフターレバーを上下したり、Startボタンを押すと、割れたプラスチック部品(内側にリングが嵌め込まれている)が引っ張られて回転し、それに連動してバネ付きのオイルリフターが上下する。

これでは、レコードの再生は出来ても、リフトUPせずにアームが戻ってしまうので、レコードが傷だらけになってしまう。

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✳︎手でリフターレバーをUPすると、上の写真にある黒色のプラスチック部品の棒状に伸びているレバーの根元が下方向に引っ張られて、プラスチック部品が回転。同時にリフターのバネが縮んでリフトUP。

✳︎オートの場合は、別のレバーがプラスチック部品の根元を押し出す様に動いて回転。同時にリフターのバネが縮んでリフトUP。

✳︎リフトDOWNは、プラスチック部品の引っ張りが解除されるとバネが伸びて戻る。

 

◆補修方法

リフターにオイルを充填して、割れたプラスチック部品を固定すれば補修できそうな事がわかったので、試しに割れたプラスチック部品にリングを嵌め込んでみた。しかし、割れ目に数mmの隙間があいてしまい完全に閉じることができないので、破片を探したが見つからない。

念のため破断面を見たら一致したので、経年劣化で縮んだのかもしれないが、柔軟性がある素材なので、元から少し小さめの穴に、リングを圧入したのだと思う。

 

◆補修開始

簡単に試せる方法から順に試した。

最初の2回は失敗、3回目で成功。

①最初はプラリペアで補修した→失敗

 方法:プラリペアで固定。

 結果:手でリフターを上げたら割れた。

 ✳︎プラスチック部品とプラリペアの接合部が

  密着せず剥がれてしまった。

②次はUV接着剤で補修した→失敗

 方法:UV接着剤で固定。

 結果:手で数回リフターを上下したら割れた。

 ✳︎UV接着剤で固定した部分の強度不足で破断

      してしまった。

③3度目は溶着→成功!

 方法:小さい穴を開け、細い針金で固定。

            更に、その上から細かく刻んだプラスチ      

            ックを半田コテで溶かしながら溶着して

            成形した。

 結果:正常にリフターが上下出来た。

 ✳︎補修後の写真。白く光っている部分が割れ  ていた部分。成形する時は、この面を平らにしないと、アームを上下する時にリフト量が変化してしまう。

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◆その他の方法

ワイヤーで固定したり、熱した金属線を橋渡しで固定する方法も考えたけど、③の方法で補修出来たので試さなかった。

 

◆試聴

組み立てた後、¥100で買ったMEN AT WORKのレコードをセットして、Startボタンをpush!リフターが上がってレコードに針が落ちた。手動も問題無い。これでレコードを聴きながら寝落ちしても、自動でアームが戻るので安心。

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◆おまけ

SL-1300mk2は、針がレコードに降りる時と再生が終わって針が上がる時に、バチとノイズが聞こえない様にミュートする機能がある。最初に組み込んだ時はミュートが効かない事がある。写真の金属プレートを固定する位置が不適切な事が原因。プレートの調整範囲は広いが、ここを正常に調整しないとミュートスイッチがON/OFFするタイミングが変わって針が降りる時にミュートが効かない。調整は写真の状態で、手でリフターレバーを上下して、リフターが正常に上下する様にプレートの位置を調整すれば良い。

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